もうそろそろ自営業はやめて就職したい・・
このまま自営続けても先が見えない・・
不安定な自営業は辞めて安定できる会社に勤めたい・・
コロナ禍で先行きを考えて自営業で親の跡継ぎを辞めて企業への転職を考える30~40代の人が日に日に増えている。
今回は自営業をの跡継ぎはもう辞めたいと考えだした人に、実際に自営業を辞めて転職する際の市場価値を含め理解しておいた方がよいことと、最適な転職活動の進め方を1,000人以上の転職支援をしてきたキャリアアドバイザーの立場でお伝えする。
・自営業で親の跡継ぎを辞めて転職をしたいと考えてる人
・自営業を辞めて転職しようと考えていても不安で一歩踏み出せない人
【この記事で得られること】
→自営業から転職する場合の市場価値がわかります
→最適な転職活動の進め方を知ることができます
自営業の跡継ぎを辞めて転職を考える理由【ベスト3】
これまでの転職相談に乗ってきた経験の中で自営業の跡継ぎを辞めて自分の道を行きたい!と考える理由は大体以下の3つ。
<第3位>違う仕事をやってみたい
単純に家業に興味・関心が持てずに他の仕事をやりたいと思うケース。周りの友人などが楽しく働いているのを見て自分もこのままではいけないと思うケースはやはり多い。20代で家業の跡継ぎ候補になっている人に多い。
・将来性のある仕事をやってみたい
・もっと稼げる仕事がしたい
<第2位>親、兄弟と仲が悪く窮屈
ずっと親や兄弟と仕事を進める中でその価値観や仕事の進め方に違いが出てきて、一緒に仕事をするのが嫌になってくるパターンは毎年毎年よく出て来る。
・親や兄弟とのやり方や考え方が合わない
・弟など年下の兄弟の方をかわいがっていて兄である自分の居場所がない
・継ぐ気はあったけど給料が安い
<第1位>経営状況が悪く先がない
コロナ禍では多くの小規模事業者が廃業に追い込まれている。2020年から家業の経営状況が急激に悪化してこれ以上続けられないという判断から転職を考える人は無茶苦茶増えた。僕自身も一年間で20人くらいはご相談に乗ったと思う。
・大手企業のパワーや新しいトレンドのサービスにのまれ今の事業体では再生がしづらい
・取引先もどんどん廃業や縮小をしている
「自営業の跡継ぎ辞めたい!」転職市場で懸念される3つのポイント
自営業の跡継ぎ問題はこの時代どこにでもありふれた話。特にコロナ禍では多くの自営業者の後継者がその道を断念し、新たなキャリアにチャレンジしている。企業側にとってもそのような層の人材をどのように採用しどのように活かすかという事も重要なポイントになってきている。
だからあなたが跡継ぎを辞めて転職をしたいという考えでもしっかり適切なアピールをすればどんどんこれからいくらでもチャンスはあると思っている。
しかし世間はまだまだ自営業を断念した特に30代や40代には甘くない。実際に中小企業の経営者や人事責任者が自営業のキャリアから転職候補者としてみるときに最も気にしている3つのポイントがこれ。
②自営業時代の収入との乖離
③キャリアビジョンの曖昧さ
①プライドと自信が残っている
これまで長く自分でやってきた中での「考え方」「やり方」「常識」が意識していても強く残っているのが30~40代の自営業経験者の特徴。
本当に自分でわかっていてもこれは自然に出てしまうのはしょうがない。郷に入れば郷に従うという考え方を重々理解していてもほとんどの人が仕事では完全に今までのやり方や考え方が出てしまう。
企業はこれを最も嫌う。自営業者は会社員とは違い良くも悪くも自分でこれまで様々なことをコントロールできた。でもこれからは別の会社組織という一定のルールや価値観の中でアジャストしていかないといけない。
②自営業時代の収入との乖離
自営業時代の収入もピンキリにはなると思うけど、自営業からの中途採用では基本的に年収はそんなに多くはとれないと思った方がよい。
転職の相談に乗る中では自営業時代に全盛期は800~1,500万程度の年収を取っていた人で今事業が立ち行かず300~400万円くらいの収入になっているという人が多い。
転職しても初年度の年収はおおよそ350~500万円程度に収まる場合が多い。自営業時代の全盛期の年収を考えると大きく乖離が出ることは織り込んでおかなければいけない。自営業時代の収入を前面に出しすぎると当然企業からは100%敬遠される。
しかし成果報酬型の営業職などは別。必死になってどんどん稼いでいきたいという思いがあるなら不動産、住宅、保険などの成果還元型の営業職であれば当然頑張りしだいで希望の収入は叶いやすい。
③キャリアビジョンの曖昧さ
自営業から会社員への転職を考える人はその後のキャリアビジョンが曖昧なことも懸念されやすい。つまり今までの自営業というフィールドを半ば切り上げたというケースが多いので「前向きな転職ではなくやむを得ず転職する」というスタンスになる。
したがって自分自身のキャリア展望をしっかり語れない人が多い。これをまずはしっかり確立して明確に伝えられるようにする必要がある。
自営業の跡継ぎを辞めての転職に向け持つべきスタンス
自営業の跡継ぎを断念してサラリーマンになる場合に僕がいつも候補者の人たちに気を付けるよう伝えているのが以下の3つのポイント。
・とにかく謙虚な姿勢を見せる
・面接でいちいち自分の実績を誇張しない(書類ではしっかりアピールする)
・以後のキャリアの展望や目標を伝える
この3つは肝に銘じて転職活動をしないと本当に扱いづらさから敬遠される。
書類選考では中途採用になるので
・どんな人脈を持っているのか?
・どんなスキルを持っているのか?
この辺りを明確に伝える必要がある。そう、書類ではあなたの実績や自慢したくなるような経験を細かく具体的に書こう。
しかし面接では自分の実績を誇張するスタンスはプライドが高く、のちに扱いづらいと判断されるので控えめにしておこう。
それよりもあなたが今後どうしていきたいかという確立された展望や思いをしっかり伝えきれるかどうかはどの会社でも重要。それがないと結局採用して合うか合わないかを判断する軸がなくなるので企業はあなたの選考がしづらいからね。
自営業の跡継ぎの断念してからの適切な転職の手順
今までお伝えしてきたことを踏まえて、自営業の跡継ぎを断念してから最適な進め方の手順をお伝えする。
②新たなキャリア形成のイメージを明確に持つ
(③今までの経験から新しいビジネスの展開を検討する)
④転職エージェントに登録する
⑤履歴書、職務経歴書を完璧に仕上げる
⑥ハローワーク、求人サイトでも求人を検索する
①親や兄弟としっかり今後を話し合う
後で揉めることのないよう、家業をどのように進めていくかは時間を取ってしっかり話し合いをすることが何より先決。
ここが家族間で固まってないと後で転職活動したときに足を引っ張ることになる。あなたが跡継ぎを辞退して新しいことに取り組む覚悟をしっかり伝えて家族に理解してもらうこと。
②新たなキャリア形成のイメージを明確に持つ
次はやはり自分が今後のキャリア形成を具体的にどうするかを考える事。前述のとおりここがしっかり持ててないと企業は採用の判断ができない。
転職の軸をしっかり定めよう。転職の軸は下記を参考にしてほしい。
③今までの経験から新しいビジネスの展開を検討する
これからのキャリア軸を定めようとしたとき、僕個人として考えてほしいのはサラリーマンになることを考える前に今までの経験を生かして何か自身でビジネスができないかという事。
実際自営業の跡継ぎを断念してサラリーマンになるのは入社するのも入社した後も簡単ではない。それよりは今まで家業でビジネスをやってきているのだから、その経験などを生かして自身でビジネスをやっていく方が性に合っている人も多い。
自身でビジネスを興していくのも無理な人もいるとは思うのでここは絶対ではないが、僕個人としては自分で新しいビジネスを始めることも選択肢の一つには入れるべきだと思っている。
④転職エージェントへの登録
サラリーマンとしてどこかの会社に入る決意を持ったならやはり転職エージェントにはお世話になるべき。転職エージェントを活用するメリットは以下。
・あなたのニッチな経験や人柄がエージェントの担当者を通すことでしっかり伝わりやすい
・ハローワークや求人広告に載ってない求人や会社を教えてくれる
20代のキャリアがまだ浅い場合のおススメの転職エージェント
20代後半~30代以降のキャリアの場合(一定分野で3年以上のキャリアが主張できる場合)
●パソナキャリア
女性なら女性アドバイザーも多く、親切さが他に比べて突出しているパソナキャリアに登録しておくと安心だ。特にまだ転職エージェントを使ったことないとか、転職が初めてという場合にはびっくりするくらい丁寧な対応をしてくれるので安心できるのもポイント。
上記の中から2~3社並行して進めていくとよい。
⑤履歴書、職務経歴書を完璧に仕上げる
転職エージェントに登録した人は担当のアドバイザーにアドバイスを受けることもあると思うけど、特に30~40代の人で転職活動に慣れてない人は履歴書や職務経歴書などの書き方が全くなってない人ばかり。
しっかり書類をどのように仕上げるかを勉強して、ここまで書いて落とされたらしょうがないというレベルで仕上げよう。参考になる別記事が以下。
⑥ハローワーク、求人サイトでも求人を検索する
転職エージェントに登録しても頼りっぱなしではダメ。自分でも求人広告やハローワークで検索して自分なりにイメージの持てる求人をピックアップしよう。
自分が気になった求人は信頼できる転職エージェントのアドバイザーがもしいるならその求人内容を見てもらって情報をもらったり紹介できるか聞いてもらおう。
転職エージェントは企業とあなたの入社が成約することによる手数料でビジネスが成り立っている。もしかしたらあなたに紹介の販路を広げてくれるかもわからない。
自営業の両親を継ぐかどうか迷った人の相談事例
これまで親の自営業の跡継ぎを断念して転職活動をした人の事例を2人紹介する。
自営業の跡継ぎを辞めて転職した事例
資格:普通免許、簿記3級
親が衣料素材の卸業をやっていて大手衣料メーカーなどに素材を卸す事業をやっていたものの、ユニクロやZARAなどに押されて全く事業が立ち行かなくなって転職を希望。売上は全盛期の3割ほど。
●ポイント
・家業では衣料メーカーへの営業を中心に行っていた
・決まった顧客がほとんどだったため新規営業はさほど経験がない
・コミュニケーション能力は高く、素直さや誠実さは持ち合わせている(勉強熱心)
①家業を継がない意思を父親に伝えで家族間で話がつく
②営業としてのキャリア確立を目指し家業のキャリアを踏まえ顧客志向の強い営業スタイルに絞る
③ハローワーク、Indeedでの求人検索、転職エージェント2社で求人をチェック
④10社ほど不採用となったものの3か月ほどでゼネコン・工務店周りが中心の介護リフォームの会社で内定
⑤介護系の資格の勉強もしながら現在就業中
⑥年収は自営業時代最終420万→転職後初年度350万+インセンティブ
※業界の将来性を踏まえて内定を受諾
資格:普通免許、大型免許
親が経営する物流会社で長男である本人が跡継ぎを見据えて大学卒業後11年間ドライバーとして勤務。弟もその後入社してくるも給料をなかなか上げてもらえず、弟の方が重宝されるようになり、父親と弟との関係が悪化。跡継ぎを辞めて全く新しい業界へチャレンジ。
●ポイント
・物流業界11年のキャリアなので30代で新しい業界などはチャレンジしにくい
・コミュニケーション能力は高い
・大卒ではあるがFランで学はない
①弟が家業を継ぐことになりそうで自身は家業からは抜けることを決意
②ドライバーの気質を知っていることから、ドライバー派遣の営業・コーディネーターを検討
③Indeedや転職サイトで派遣会社9社ほど選考を受ける
④製造派遣の会社での営業兼コーディネーターとして1社内定を獲得
⑤年収は家業時代380万円→転職後350万円+インセンティブ
※派遣会社はさほど学力やキャリア問わず、選考は進みやすい
まとめ ~「自営業の跡継ぎはもう辞めたい!」転職における懸念点と適切な進め方~
自営業の跡継ぎを辞めて転職したい場合、30~40代となると一筋縄にはいかない。しっかりと家族間で話をつけてしっかりとそのあとの対策を確立したうえで進める必要がある。
上記の事例のようにある程度自分自身のキャリアや生い立ちにおけるポイントを明確にし、しっかりした手順で次のキャリアを考えるようにしよう。
今日はここまで!
See you mate.